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(教員コラム)選べる、迷える、自由のあるところ

どんなコラム?

「きっと迷いの中に倫理がある」--漫画『チ。--地球の運動について--』に登場するセリフです。大学という場所は、大いに迷って、自由な時間を過ごせる贅沢な場所です。


執筆者:矢野 円郁(認知心理学研究室)

Column

 大学には、4年かけても全ての授業を受けることができないほど多くの授業が開講されており、高校までと違って、かなり自由に自分で時間割を組むことができます。学びたいことを選ぶ自由があります。今年の新入生も、どの授業をとるか迷いに迷っている人もいました。選べる、迷える、というのは幸せなことですね。
 授業選びに困って相談に来られた新入生にご紹介した授業の一つに「人権論」という授業があります。今年度、この授業をコーディネートする立場になり、私自身も受講生の皆さんと一緒に外部講師のお話を伺っています。最初のテーマは、「障害者」の「自立」について。どんなに重度の障害があっても、自立した生活が送れるよう障害者の生活をサポートする「メインストリーム協会」の活動内容をお聞きするとともに、実際に協会にお邪魔して、様々な障害を抱えた利用者さんと交流もさせていただきました。障害をもつと(もって生まれると)、健常者と比べて圧倒的に人生における選択肢が減ってしまうというのが現状です。たとえ重度の障害があっても、地域社会とつながって、親元を離れて、自立した生活を送るという選択肢を有したい。それを可能とする社会の実現に向けた考え方や実際の活動を学びました。教員という立場になってからも、こうして学生さんとともに学ぶ機会がたびたびあり、大学での学びに飽くことはありません。授業以外にも、さまざまな講演会や研究会が開催されます。案内を見逃さないようにして、大学が提供する「知」を享受してください。
 大学進学という選択肢すら与えられなかった人も世の中にはたくさんいます。日本の大学進学率は依然6割程度。国際的にも決して高くはなく、経済的理由で進学を諦めざるを得ない人も少なくありません。大学生という最も自由で贅沢な身分を享受した皆さんは、この不公平を変えるためにどうすべきかということも、ぜひ学問しながら考えてほしいと思います。これから大学を選ばれる皆さんも、迷い選べること自体を喜びながら、ともに学び、ともに考える場として、ぜひ大学の門を叩いてください。