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横浜市消防局で指令管制員研修を実施 ー119番通報の心理学研究を現場へー

【概要】
本学心理学部の木村昌紀教授が、2026年2月26日、横浜市消防局で指令管制員を対象とした研修を実施しました。119番通報における通報者の心理やコミュニケーションの特徴、映像通報や救急相談センター(#7119)に関する研究成果を紹介するとともに、市民の事前理解の重要性や、現場の知見を踏まえた新たな研究課題についても共有しました。

【詳細】
2026年2月26日、横浜市消防局の依頼を受けて、本学心理学部の木村昌紀教授は横浜市消防局本部運営室において消防局警防部司令課の職員の皆さまを対象とした研修を実施しました。本研修は「通信指令業務に活かす心理学」をテーマに行われ、横浜市内で119番通報に対応する指令管制員約30名が参加しました。
横浜市は人口約377万人、約182万世帯が暮らす大都市であり、日々多くの119番通報が寄せられています。指令管制員は、通報内容の聴取や状況判断、応急手当の助言、消防隊・救急隊の出場指令などを担う、人命救助の最前線を支える重要な役割を担っています。救急需要の増加や通報内容の多様化が進む中、通報者の心理状態を理解しながら対応するコミュニケーション能力の重要性が一層高まっています。
本研修では、緊急事態における人の心理反応やコミュニケーションの特徴について心理学の視点から解説するとともに、119番通報における市民と指令管制員の相互作用に着目し、情報共有のあり方や状況把握のプロセスについて研究知見と事例を交えて紹介しました。
また、通報者と映像を共有しながら状況確認や応急手当の助言を行う映像通報システム「映像119」や、救急車の要請判断を支援する救急相談センター(#7119)に関する研究成果を取り上げ、ICTを活用した新たな通信指令の実践についても検討しました。
さらに、市民が119番通報の流れや伝えるべき情報を平時から理解しておくことの重要性についても共有し、通報者側の準備が対応の質に与える影響について説明しました。
加えて、これまでに実施してきた指令管制員を対象とした調査研究
の結果を紹介し、現場で求められる対応能力や課題について心理学の観点から整理しました。
研修後の意見交換では、参加した指令管制員の方から現場経験に基づく具体的な質問や意見が数多く寄せられました。実務の中で直面する課題や工夫が共有されるとともに、その内容は今後の研究につながる新たな研究課題として位置づけられ、現場と研究が相互に進展する契機になると思われます。本研究や活動は、119番通報に関する「市民理解」と「指令管制員教育」の双方を心理学の観点から検討する、日本でも数少ない試みです。
今回の取り組みは、
研究成果を現場に還元すると同時に、現場から新たな知見を得る双方向的な社会連携の実践として位置づけられます。今後も、119番通報をめぐるコミュニケーションの研究と実務の架橋を通じて、市民の安全・安心の向上への貢献が期待されます。